ごあいさつ

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2020.02.01


御 挨 拶

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会
会 長  川 鍋 一 朗


 明けましておめでとうございます。令和2年の新春を迎え、謹んで年頭の御挨拶を申し上げます。

 本年は、7月24日から東京オリンピックが、8月25日から東京パラリンピックが開催されます。全タク連では、近年訪日外国人が急速に増加している状況を踏まえ、平成30年1月に「訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン」を策定し、母国と同じタクシー・ハイヤー利用環境づくり、言葉の不安解消、決済の不安解消等、訪日外国人のニーズに対応した安全で快適なタクシーサービスの向上に取り組んできました。
 特に東京オリンピック・パラリンピックの開催期間は、訪日観光客を含む多数の人の移動が見込まれるため、大会成功の一助となるべくタクシー業界として輸送面でしっかりと貢献したいと考えています。これまでの取組をより一層着実に推進して頂きますよう会員の皆様の御理解・御協力をお願い致します。

 さて、令和元年8月30日付け公示において、全国48運賃ブロックで消費税率引上げと同時に予定されていた通常運賃改定が先送りされたことは、108年に亘る我が国タクシー史上初めての異常事態でした。
 全タク連では、直ちに9月4日一見自動車局長に対し、通常運賃改定の早期実施等を求める申し入れを行うとともに、9月から10月にかけて開催された与野党のタクシー議連の総会において窮状を訴え、早期実施への支援を要請したところです。議連総会においては、関係行政機関に対し先生方から強力に早期実施すべしとの声を挙げて頂きました。11月6日には、赤羽国土交通大臣、与野党のタクシー議連の会長にも出席頂き大分で全国事業者大会を開催し、運賃改定の早期実施を求める緊急決議を採択し、国土交通省に対し申し入れを実施しました。
 与野党のタクシー議連の先生方には、11月上旬に物価問題に関する関係閣僚会議の主宰者である菅官房長官への要請行動も実施して頂きました。
 その後、なかなか事態が進展しなかったことから、11月25日には関係する25の協会長を加えた緊急拡大正副会長会議を開催し、改めて通常運賃改定の年内実施を強く求める要望書をとりまとめ、出席者全員の署名を添付し、同日、赤羽国土交通大臣に提出しました。そして、12月10日に開催した第2回目の緊急拡大正副会長会議には赤羽国土交通大臣が出席され、「関係方面との調整が終了し来年2月1日より実施が決まり、この旨12月13日に公示する。」とのお話がありました。
 昨年12月13日にようやく各運輸局から公示がなされたのは、このような与野党の議員連盟の先生方による強力なる御支援があったればこそと考えており、心より感謝申し上げます。

 ライドシェアと称する白タク行為を解禁しようとする動きについては、令和元年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2019」及び「成長戦略実行計画」において、ライドシェアに関する記述はされてはおらず、タクシーを進化させるという方向が示されたものと考えています。また、同日閣議決定された「規制改革実施計画」及び5月に公表されたシェアリングエコノミー検討会議の第2次報告書においても、ライドシェアに関する文言は見られませんでした。
 しかしながら、未来投資会議、国家戦略特区諮問会議においては、相変わらず民間議員の竹中平蔵氏等がライドシェア解禁について度々発信しており、昨年6月11日の国家戦略特区諮問会議においても、「来年のオリンピック・パラリンピックに向けた課題としてライドシェアの本格的な実現」について提案がなされました。
 また、新経済連盟は、昨年10月24日、自民党のデジタル社会推進特別委員会及び公明党の政策要望懇談会において、「『New Economy』の実現に向けた政策要望」としてライドシェア新法の制定を提言しました。
 10月31日に新たにスタートした規制改革推進会議においても、複数の委員からライドシェア解禁に関する発言がなされる等、依然として予断を許さない状況にあります。
 全タク連では、引き続き政府の各種会議の検討状況を注視していくとともに、与野党の議員連盟の先生方、国土交通省等行政機関、労働組合、そして全国の地方自治体等と緊密に連携をとりながら、ライドシェア解禁断固阻止に向けて全力を尽くします。
 一方、我々タクシー業界は、少子・高齢化社会が急速に進行する中、地方創生を担う地域公共交通機関・社会インフラであることを改めて自覚するとともに、利用者ニーズの多様化、IT化の進展、観光先進国の実現等に対応すべく、スマホ配車の普及促進、UDタクシー・妊婦応援タクシー・育児支援タクシー・観光タクシーの充実、乗合タクシー全国展開のより一層の強化、多言語タブレットの導入促進、キャッシュレス決済の拡充等、タクシー事業の更なる進化を図り、引き続き日本においてはライドシェアは不要であるということを示していきたいと考えています。

 11項目の事業活性化策である「今後新たに取り組む事項について」が打ち出しから2年以上が経過したことから、都道府県協会の意見を踏まえつつ、平成31年3月よりライドシェア問題対策特別委員会において11項目の刷新について集中的な検討を行いました。その結果、「MaaSへの積極的参画」「自動運転技術の活用方策の検討」「キャッシュレス決済の導入促進」「子育てを応援するタクシーの普及」「ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)・福祉タクシーの配車体制の構築」「『運転者職場環境良好度認証』制度の普及促進」「労働力確保対策の推進」「大規模災害時における緊急輸送に関する地方自治体との協定等の締結の推進」「タクシー産業の国内外へのアピールの推進」という新たな9項目から成る「『タクシー業界において今後新たに取り組む事項について』への追加項目」をとりまとめ、令和元年6月5日の正副会長会議において決定、6月25日の通常総会において発表致しました。会員の皆様におかれましては、先の11項目と合わせた計20項目について、それぞれの地域の状況を踏まえて検討され、実施可能な項目について取組を進めて頂きますようお願い致します。
 先の11項目のうち、事前確定運賃については、平成29年の実証実験を経て制度設計がなされ、平成31年4月26日付けで認可申請の取扱いについて通達が発出されました。同通達については、輸送実績を示した書面及びデータの提出等に関して多くの都道府県協会から課題・要望が寄せられたことから、全タク連では、国土交通省に対し令和元年8月2日付けで要望書を提出致しました。この要望を受け、国土交通省におかれては地域の実情に応じて弾力的な運用をご検討頂きながら、第一弾として10月25日付けで事前確定運賃の認可がなされ、10月28日以降、準備が整った事業者から事前確定運賃のサービスをスタート致しました。事前確定運賃は、「渋滞や回り道等により運賃が高くなるかもしれない。」「到着するまでメーターが気になる。」という利用者の不安感を払拭できるサービスであることから、利用者利便に資するものと確信しており、今後の全国的な普及に期待しています。
 また、先の11項目については、相乗りタクシー、変動迎車料金、定額タクシー等につきましても、実証実験の結果を踏まえ、国土交通省の指導を頂きながら本格実施に向けてその取組を進めていきたいと考えています。

 羽田、成田、関西等の国際空港や大型クルーズ船が入港する港或いは全国の観光地等で、訪日中国人を対象としたスマホアプリを使った白タク行為が横行している問題は、断じて容認できるものではなく、国土交通省、警察庁等関係行政機関に対し、訪日中国人等を対象とした白タク行為の取り締まりを一層強化されるよう要望していきたいと考えています。
 また、最近、東京都内の繁華街を中心に横行しているWEBサイトで運転者と利用者を仲介するマッチングサービス「CREW(クルー)」については、その実態は、互助・共助を仮装した謝礼を得ることを目的とした白タク行為そのものでないかとの声があります。
 国土交通省は平成30年3月30日、自家用車を使った運送で、利用者が支払う謝礼の範囲を明確化する通達を出しましたが、  「CREW」は、表面的には国土交通省の指導に従いシステム変更を行って通達に沿った運営を行っているとしていますが、利用者の声を聴く限り、実態は通達の趣旨を逸脱し、評価が低い利用者はサービス提供を受けにくくなる仕組みが残っている疑いがあります。
 「CREW」については、引き続き注視していくとともに、国土交通省には、その実態解明と適切な対応を強く要望して参りたいと考えています。

 過疎地域等における生活交通の確保に有効な手段である「乗合タクシー」については、これまでも全タク連で事例集を作成し、これを活用した地方自治体への訪問活動等により、乗合タクシーの導入に積極的に取り組んで頂くよう傘下会員の皆様にお願いしてきました。これに加え、現在、各都道府県タクシー協会では、自治体訪問活動等による自治体との意見交換等を通じて把握した地域交通の課題・ニーズ等について、タクシー事業者として貢献できる取組をとりまとめた「地域交通サポート計画」の策定作業を鋭意進めて頂いているところです。
 各都道府県協会におかれましては、これらの活動を通じて地方運輸局及び地元自治体と連携し、地域住民の生活交通の確保のため乗合タクシー導入等への取組を積極的に推進して頂きますようお願い申し上げます。

 UDタクシーの導入は急速に進んでおり、特にトヨタ自動車のJPN TAXIの登録台数は、昨年11月末において全国で17,671台、東京で10,371台となっています。全タク連といたしましては、引き続き国土交通省に対し、UDタクシーの導入補助の拡充を積極的に要望していきたいと考えています。
 一方で、JPN TAXIの発売以降、車椅子の利用者等がUDタクシーであるにもかかわらず運送の申込みを断られる事例があるとの指摘が、国会、報道及び障害者関係団体等から度々なされています。平成30年11月8日付けの国土交通省通達「ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施について」に基づき、UDタクシーの運送に関する研修の受講等の取組を各地で推進したことにより、障害者団体が昨年10月30日に実施した全国一斉調査結果では「スムーズに乗ることができた。」等の好事例も見られる一方、残念ながら乗車拒否等の事例報告も公表されています。
 このような状況の中、国土交通省から改めて令和元年11月19日付けで通達「ユニバーサルデザインタクシーによる運送の適切な実施の徹底について」が発出されました。各都道府県協会及び傘下会員の皆様におかれましては、これらの通達を踏まえ、UDタクシーの運転、予約、配車その他の業務に携わる従業員に対し、UDタクシーの運送に関する研修を実施する等の取組を引き続き積極的に推進して頂きますようお願い致します。

 今年4月から働き方改革関連法が中小企業にも本格的に適用され、タクシー業界においても、5年間の猶予期間中のうちに、時間外労働の上限を年960時間以内にしなければならない2年目を迎えることになります。
全タク連では一昨年3月に策定した「タクシー事業における働き方改革の実現に向けたアクションプラン」に沿って各種の取組を確実に推進することとしています。
 また、タクシードライバーの人材確保については、4月以降実施が予定されている「就職氷河期世代向けの資格習得支援等の施策」等を受けて、タクシードライバーの職業としての魅力を広くPRするとともに、人材確保に最大限努めて参ります。
 さらに、現在ドライバーの高齢化が進んでいることから、昨年4月より、タクシー・ハイヤー業における高齢者雇用推進ガイドラインの策定を進めているところですが、本年夏頃には皆様にお示しできる見込みです。

 改正タクシー特措法については、現在、22地域が特定地域に指定されていますが、昨年11月、平成27年及び28年に指定を受けた20地域について、平成30年度輸送実績に基づき改めて地域指定の見直しがなされ、7地域が指定を継続、2地域が当初期限の末日から3年間延長、11地域が令和元年度末を以て解除する旨の方針が示されました。
 また、現在108地域が準特定地域に指定されています。
 引き続き、全国の特定地域及び準特定地域において、適正化・活性化の取組を進めて頂きますようお願い申し上げます。
 なお、全タク連では、改正タクシー特措法施行における課題・要望について、各都道府県協会の意見を踏まえ、平成28年1月15日付けで国土交通省に対し要望書を提出しましたが、特に特定地域及び準特定地域の指定基準については、今なお改善を求める意見が寄せられているところであり、引き続きこれらの課題等への対応について、国土交通省に対して要望して参りたいと考えています。

 最後になりますが、会員の皆様の益々の御繁栄と御健勝をお祈り申し上げ、年頭の御挨拶と致します。