ごあいさつ

20230101bkご挨拶

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2023.01.01


御 挨 拶

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会
会 長  川 鍋 一 朗


 令和4年の新春を迎え、謹んで年頭の御挨拶を申し上げます。

 昨年の7月から9月にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期となった東京オリンピック・パラリンピックが開催されました。1年の延期に加え無観客での開催等、コロナ禍で異例づくしとなった同大会ですが、競技場及び選手宿泊施設周辺の地域を中心として大会関係者の輸送に協力する等、タクシー業界を代表して大会の成功に向けた取組をいただきました関係事業者に御礼を申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症については、我が国においては感染者数の減少によって昨年9月30日を以て緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除されましたが、11月に新たに南アフリカ共和国で発見されたオミクロン株が各国に広がりを見せる等、依然として予断を許さない状況が続いております。
 一昨年来、4度にわたる緊急事態宣言の発動、度々にわたるまん延防止等重点措置の状況下において、タクシーが国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な事業として国から事業継続が求められたことは、タクシーの社会的な役割を改めて認めていただいたものとして大変誇らしく感じるものでしたが、人の移動が激減したことにより、タクシー業界はかつて経験したことのない未曾有の危機に陥りました。全タク連サンプル調査によると、営業収入は2020年4月及び5月に2019年同月比で3割台まで急落し、その後は感染の状況等により5〜7割台を行き来する状況が継続し、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除された後も需要回復の動きが鈍く、昨年11月の実績は約77%に止まっております。さらに、昨今は燃料価格の高騰がタクシー事業者の経営危機に更なる追い打ちをかける事態となっており、タクシー業界は先行きが不透明な状況に置かれております。
 このような状況の中、全タク連では、各都道府県協会及び調査対象事業者の御協力を得て作成した経営動向調査結果を基に、タクシー事業者への経営助成、雇用調整助成金特例措置の延長、コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のタクシー事業への活用支援、資金繰り支援をはじめとする「新型コロナウイルス感染症により深刻な影響を受けているタクシー事業への支援要望書」をとりまとめ、毎月国土交通省、厚生労働省等行政機関及び与野党のタクシー議員連盟を中心とする国会議員の先生方に対し、支援要望を強力に実施して参りました。
 さらに、コロナ禍が長引く中で発生した燃料価格高騰の問題に対しては、11月15日に国土交通大臣に対し「LPG等燃料価格の高騰により危機に瀕するタクシー業界からの要望書」を提出するとともに、12月2日には全日本トラック協会、日本バス協会と合同で「燃料価格高騰経営危機突破総決起大会」を開催し、「燃料高騰分の価格転嫁のための対策の実施」「燃料費負担の軽減に資する補助支援制度の創設」をはじめとする決議を採択したところです。
 全タク連では、今後も国民生活を支える地域公共交通機関として何とかこの苦境を生き残ることができるよう、引き続き与野党の議員連盟の先生方、国土交通省等行政機関を中心にタクシー業界への支援を強く要望していきたいと考えております。
 昨年11月19日に閣議決定された「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえ、昨年11月26日に閣議決定された令和3年度補正予算においては、長引くコロナ禍の影響に加えて急激な燃料価格高騰により存亡の危機にあるタクシー事業への経営支援のための諸措置が講じられることとされており、一日も早い執行が期待されます。
 また、国土交通省では、需要激減に伴う臨時休車の特例措置等、制度面でのご支援もいただいているところです。これらの期限延長等の運用については、引き続き業界の状況に応じて適切にご対応いただくよう要望して参ります。

 一方、コロナ禍を生き残るためには、各種支援を前提としながらも、業界自らが活性化の取組を継続するとともに、最も安全な公共交通と評価していただくことが大切であると思っております。これまでも進めてきたUD車両、配車アプリ、キャッシュレス決済の導入等のタクシーを進化させる取組に加え、空気清浄機や防菌シート・感染防止仕切板の導入、タクシーデリバリーサービスの導入等、コロナ禍に対応した取組の推進も重要であると考えております。
 なお、コロナ禍によって営業収入が落ち込む中、これらの取組には、最低賃金の引き上げ、燃料費の高騰、支払手数料の増加等の各種コスト増を乗り越えた上で更なる原資の確保が必要となります。地域の実情に応じ、適切な運賃の見直しがなされるよう期待しております。
 非常に厳しい状況下ではありますが、我が国における新型コロナウイルス感染症を巡る現状は、全国的に新規感染者数が低い水準に止まっており、ワクチン接種率の向上も相まって、徐々にウィズコロナ、アフターコロナの時代に移行しつつあると感じております。景気回復期にタクシー業界が乗り遅れるようなことにならぬよう、やれることはやるという姿勢を今から示し実行していくことが重要であると考えておりますので、会員の皆様の御理解・御協力をお願いいたします。

 タクシー業界が活性化に取り組み、タクシーが進化しているということを国会議員の先生方、行政をはじめとする関係各所の方々に理解していただくことは、ライドシェア解禁断固阻止という面においても非常に重要です。
 全タク連においては引き続き、国民の安全を脅かすとともに地方創生の担い手である地域公共交通の存続を危うくするライドシェアの解禁断固阻止のため、与野党の議員連盟の先生方、国土交通省等行政機関、労働組合、そして全国の地方自治体等と緊密に連携をとりながら全力を尽くし、引き続きタクシー事業の進化を図り、日本においてはライドシェアは不要であるということを示していきたいと考えております。

 タクシー業界では、事業活性化20項目「今後新たに取り組む事項について」及び規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)に盛り込まれたタクシーの利便性向上に向けた各施策について、適宜その取組を進めているところです。
 相乗りタクシーの制度化については、令和2年3月末のパブリックコメントの募集以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により動きが止まっておりましたが、昨今の感染者数の減少を踏まえ、昨年10月29日付けで通達が発出、11月1日に施行されました。今後、本制度を活用したサービスの誕生・普及に期待しております。
 また、ソフトメーターの開発・運用に向け、国土交通省、業界はじめ関係者は、数回の検討会の議論を踏まえ、昨年秋に実証実験を行ったところです。利用者から信頼され且つ使い易いソフトメーターの開発を期待しております。
 事前確定型変動運賃については、昨年10月から11月にかけて実証実験が行われました。今後の制度化にあたっては、実証実験の結果を踏まえ、利用者やタクシー業界に混乱を招くことがないようにするべく国土交通省に働きかけて参りたいと考えております。
 点呼の高度化については、昨年3月に国土交通省において「運行管理高度化検討会」が設置され、遠隔点呼の対象拡大、自動点呼の導入について議論が進められているほか、幾つかの事業者において実証実験が進められております。

 政府は、令和2年12月「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定。同成長戦略では、「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現」を打ち出されたところですが、タクシー業界としても政府方針を踏まえ、カーボンニュートラル実現に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 タクシー事業の原点である国民に対する安全、安心な輸送サービスの提供に関しては、昨年3月に国土交通省が策定した「事業用自動車総合安全プラン2025」を踏まえ、同年4月に全タク連において策定した「ハイタク事業における総合安全プラン2025」に基づき、関係者の総力を挙げて交通事故の削減に取り組んで参ります。

 また、若年ドライバーの確保に関しては、長年にわたり我々タクシー業界が要望してきた第二種免許の取得要件緩和等を盛り込んだ改正道路交通法が本年5月13日に施行されることとなり、高齢化が進んでいるドライバーの平均年齢の若返りに寄与するものと考えております。

 タクシー業界におきましては、2024年4月1日からドライバーの時間外労働の上限を年960時間以内にしなければなりません。今年4月には5年間の猶予期間の4年目を迎えることになります。
 さらに現在、中小企業に適用が猶予されている月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は、2023年4月1日から、50%になります。このことからも、時間外労働の削減に取り組む必要があります。
 全タク連では「タクシー事業における働き方改革の実現に向けたアクションプラン」に沿って今後とも各種の取組を確実に推進することとしております。
 また、働き方改革に合わせて改善基準告示の改正のための審議が大詰めを迎えています。今年中にはその内容が決定されると見込まれますが、その際は皆様方に情報を提供させていただきます。

 タクシードライバーの人材確保については、厚生労働省から受託した「就職氷河期世代の方向けの短期資格等習得コース事業」が4月以降最終年度を迎えます。この事業は不安定就労にある就職氷河期世代の方に二種免許取得を支援してタクシードライバーとしての正社員就職を目指していただくものです。この事業により少しでも人材確保が図られるように努めておりますので、皆様の御理解と御協力を得られますように一層のPRと積極的な事業の運営を進めて参ります。

 さらに、社会保険について適用拡大のための法律改正が行われ、本年10月から、従業員数が101人以上500人までの企業に対して、一定条件以上の定時制ドライバー(パート社員)を社会保険に加入させる義務が生じます。そして、2024年10月からは従業員数が51人以上の企業にも加入が義務付けられます。該当する場合は社会保険料の負担が増えることになりますので、早めの準備に取り組まれるようにお願いいたします。

 このほか、改正タクシー特措法に係る取組の推進、地域交通サポート計画を含む過疎地域等における生活交通の確保に有効な手段である乗合タクシーの推進、UDタクシーの運送に関する研修の推進等、各種の課題について的確に対応して参りたいと考えております。
 特に、国土交通省はじめ各省が連携した「スマートシティ関連事業」の一事業として、各地で推進されているMaaSへも能動的に参画し、鉄道、バス等の交通事業者はじめ地域の事業者との連携を強化し、地域経済の活性化を図りつつ、ポストコロナの時代に対応した利便性の高い交通手段の一翼を担って参りたいと考えております。

 最後になりますが、会員の皆様が現在の苦境を共に乗り越え、本年が新しい時代に向けた再生へのスタートになりますよう御祈念申し上げ、年頭の御挨拶といたします。