統計調査

タクシー運転者の賃金・労働時間の現況(平成18年)

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2008.07.29

平成18年タクシー運転者(男)賃金年間推計額 約329万円
対前年比プラス8.3% 約27万円の増




 全乗連では、厚生労働省が毎年実施している「賃金構造基本統計調査」の平成18年の結果に基づき、「タクシー運転者の賃金・労働時間の現況」をとりまとめた。
 平成18年のタクシー運転者(男)の賃金の年間推計額は、前年に比べ8.3%、27万2,500円増の328万8,900円となり、平成8年以来10年ぶりに増加した。
 一方、全産業男性労働者の年間推計額は、前年比0.6%、3万1,600円増の555万4,600円となった。
 この結果、タクシー運転者(男)と全産業男性労働者との格差は、226万5,700円となり、前年の250万6,600円から24万円格差が狭まった。
 タクシー運転者(男)の年間推計額を都道府県別にみると、前年に比べ増加した都道府県は26都府県(昨年は23道府県)、減少した都道府県は21道府県(昨年は23都府県)であった。
 年間推計額400万円台は昨年と同じく東京都のみで、300万円台が13府県、200万円台は28道府県、100万円台が5県となっており、各階層とも昨年と同数であった。
 平成18年6月度のタクシー運転者(男)労働時間は、201時間で、昨年に比べて2時間増加した。

(注) この「タクシー運転者賃金・労働時間の現況」は、厚生労働省が毎年6月度の賃金について実施 している「賃金構造基本統計調査」の平成18年分の調査結果から、全乗連事務局で参考資料とし てとりまとめたものであり、各図表における用語の意味は以下の通りである。
1 「月間給与」とは、6月分について、あらかじめ定められた支給条件により支給された「きまって支給する現金給与額」をいい、通勤手当、超過労働手当等を含む。
「所定内給与」とは、「月間給与」のうち超過労働手当以外のものをいう。
「年間賞与」は平成17年1月~12月の間に支給された賞与・期末手当等の特別給与をいう。
「年間給与」は「月間給与」を12倍したものをいう。
「年間推計額」は〔月間給与×12+年間賞与〕により算出したものをいう。
2 「月間労働時間」とは、平成18年6月の所定内実労働時間数と所定外実労働時間数を合計した月間総実労働時間をいう。
「年間労働時間」とは、「月間労働時間」を12倍したものをいう。


平成18年タクシー運転者の賃金・労働時間の現況


〔タクシー運転者(男)〕
1 平成18年6月度の月間給与(超過勤務手当等を含む)の平均は、25万3,000円で、前年に比較して2万1,200円、8.4%増加した。
2 平成17年1月から12月までに支払われた賞与・期末手当等の年間賞与の平均は、25万2,900円で、前年に比べ18,100円、7.2%増加した。 
3 このため、平成18年6月度の月間給与から年間給与を推計し、これに平成17年1月から12月までに支払われた年間賞与を加えた年間推計額は、328万8,900円で、前年に比べ27万2,500円、8.3%増加をした。
4 平成18年6月度の実労働時間の平均は201時間で、前年に比べ2時間増加している。内訳は、所定内労働時間が172時間(前年より2時間増)、所定外労働時間が29時間(前年と同じ)である。

〔全産業男性労働者〕
1 平成18年6月度の月間給与(超過勤務手当等を含む)の平均は、37万2,700円で、前年に比較し600円、0.2%増加した。
2 平成17年1月から12月までに支払われた賞与・期末手当等の年間賞与の平均は、108万2,200円で、前年に比べ2万4,400円、2.3%増加した。 
3 平成18年6月度の月間給与から年間給与を推計し、これに平成17年1月から12月までに支払われた年間賞与を加えた年間推計額は、555万4,600円で、前年に比べ3万1,600円、0.6%増加をした。
4 平成18年6月度の実労働時間の平均は185時間と前年に比べ3時間増加した。内訳は、所定内労働時間が168時間(前年より2時間増)、所定外労働時間が17時間(前年より1時間増)となっている。

〔タクシー運転者(男)と全産業男性労働者との比較〕
1 平成18年6月度の月間給与について比較すると、タクシー運転者(男)は全産業男 性労働者の67.9%となり、前年の62.3%から格差は狭まった。実額差は、11万9,700円(前年14万300円)である。
2 平成17年1月から12月までに支給された年間賞与について比較すると、タクシー運転者(男)のそれは全産業男性労働者の23.4%であり、4分の1にも満たない。実額の差は、82万9,300円(前年82万3,000円)である。 
3 年間推計額で比較すると、タクシー運転者(男)は、全産業男性労働者の59.2%であり、前年の54.6%に比べ4.6ポイント上昇した。実額の差は、226万5, 700円と、前年の250万6,600円より格差が狭まった。
4 平成18年6月度の労働時間について比較すると、タクシー運転者(男)は全産業男性労働者より16時間長くなっており、前年の17時間に比べて差は1時間縮まった。 内訳は、所定内労働時間の差4時間、所定外労働時間の差12時間となっている。

〔タクシー運転者(男)と製造業生産男性労働者との比較〕
 製造業生産男性労働者(製造業の生産ラインで働く男性労働者)の年間推計額は、482万7,800円であり、タクシー運転者(男)のそれは製造業生産男性労働者の68.1%(前年63.4%)と、額にして153万8,900円(前年173万9,800円)の差がある。

〔タクシー、トラック、バス運転者(男)の賃金・労働時間〕
 各運転者の賃金を年間推計額で見ると、営業用バス運転者が最も高く451万9,600円、次いで営業用大型貨物自動車運転者の441万600円、営業用普通貨物自動者運転者の397万2,200円、タクシー運転者の328万8,900円の順となっている。

〔タクシー運転者(男)と全産業男性労働者の年齢階級別賃金比較〕
 全産業男性労働者については、50~54歳層までは年齢階級が上がるにしたがって年間推計額も上がっているが、タクシー運転者(男)については年齢階級別の差は認めれず、むしろ25歳~44歳層が、45歳~54歳層の年間推計額を上回っている。

〔タクシー運転者(女)の賃金・労働時間〕
 タクシー運転者(女)とその他の女性労働者との賃金・労働時間の状況は、参考の表1、表2のとおりである。
 タクシー運転者(女)の年間推計額は、311万2,300円で、全産業女性労働者(343万2,500円)に比べ32万200円下回っているが、製造業生産女性労働者(255万2,800円)を上回っている。